2024年1月、サカナクションの山口一郎さんが「うつ病」であることを公表しました。
この公表を受け、病気に苦しむ当事者たちは強い共感を得たのではないかと思います。
実は筆者もそのうちの一人です。
そこで今回は、山口一郎さんの病気に関するインタビュー記事に対して
当事者である筆者がうつ病を考察していこうと思います。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
うつ病のリアルとは?
さて、まずは山口一郎さんの記事から“うつ病のリアル”について考察していこうと思います。
朝が起きられない
食欲もなく、朝から晩までベッドから出られない。這い上がっても、30秒ぐらいでまたベッドに倒れ込んでしまう。
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
うつ病の特徴の一つに、朝起きられないという特徴があります。
私も朝は鉛のような体の重さで、ひどい頃は「起き上がる」という指令が脳から体へ届かないという感覚でした。
夜に向かうにつれて、だんだんと体の重さが和らいでいく実感があるのもまさにうつ病の特徴で、ドンピシャでした。
頑張った後の反動が大きい
ちょっとずつ活力が出て、前向きになっていきました。そうして1年が過ぎた頃、出版した書籍のサイン会とクラブイベントをやってみたんです」
しかしその後、体調は後退してしまう。
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
うつ病でも調子の良い時にはなんとかやれてしまう時があります。
その時は本当に嬉しいのですが、怖いのはその後です。
頑張ったら頑張った分だけ、無理をしたら無理をした分だけ反動が来て、体調を崩してしまいます。
ですので無理をした次の日はダウンして、一日中寝てしまうというパターンが多かったです。
回復力が乏しく、頑張る度に何日もかけて体調を戻していくことを繰り返していました。
人は「なんとかやれてしまう自分」しか知らないので、「元気そうだ」と思われることが逆に苦しかったです。
自分に合う薬に出会うまではとても苦しい
「自分に合わない薬を飲むと余計に何もできなくなるし、反対に、必要以上にテンションが上がっちゃう時もあった。合う薬を探していた時期が一番しんどかったですね」
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
私自身も、合う薬に出会うまでがとてもしんどかったです。
合わない薬は本当に合っていなくて、病状は変わらず苦しみが続くだけでした。
中には合わない薬で副作用がひどい方もいるようです。
合っている薬に出会ってからはぐんぐんとできることが増えてきました。
うつ病になった人にしかわからない苦しみがある
「それまで僕はうつ病の人に『心が弱くて苦しんでいる人』というイメージを抱いていたので、自分がそんなふうに思われたら、もうミュージシャンとして終わってしまうんじゃないかとか、自分の音楽の聴かれ方が変わっちゃうんじゃないかといった不安が頭をよぎりました」
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
心の病気というと、「心が弱いからだ」とか「怠けているからだ」と思われてしまいがちです。
ただ、実際にうつ病になってみると、なる前には想像もできなかった病状に苦しみました。
うつ病は心の持ちようではなく、立派な“病気”であることが身に染みてわかります。
なってみないとわからない感覚と世界観に本当に驚きました。自分が自分ではないようでした。
ですので、今はうつ病になって良かったとも思えます。
うつ病患者の環境が治療に大きく影響する
「今思えばありがたかったですね。ミュージシャンの場合、事務所の受け入れ方によって、病気との闘い方はかなり変わると思います」
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
うつ病の治療の良し悪しは、その人を取り巻く環境で大きく変わると思います。
山口さんは、事務所から「休みなさい」となかば命令のように指示されたため休めたようです。
中にはうつ病になっても、心と体をすり減らし続ける環境の方もいらっしゃいます。
そうなると余計に症状が悪化してしまいます。環境は本当に大切です。
私も母が病気を理解してくれているので、安心して治療に取り組めています。
死と隣り合わせの病気
正直、こんな思いが一生続くのならば、『死んだほうが楽だな』と思ってしまう人がいることも理解できました。しんどかったけど、行動を起こすようなところまではいかなかった。想像はしましたけど。
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
自分の思う通りにいかない体に嫌気がさして、人生を辞めてしまいたくなる時もあります。
私も行動はしなかったものの、想像をすることはありました。
実際に自ら命を絶つ人もいらっしゃるのも現実で、本当に危険であり慎重に付き合っていく病気だと思っています。
今まで好きだったことができなくなる
「まず、それまで好きだったことができなくなった。音楽も聴かず、本も読めない。釣りにもファッションにも興味がわかなくなって、買い物もしなくなった。人ともほとんど連絡を取らなくなった」
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
私も同じように、今まで好きだったことが何もかもできない時がありました。
「何もしたくないし何もできない」、でも「寝ていたくもない」という矛盾した考えに陥ることも多々ありました。
意欲がなくなることも、うつ病の特徴の一つです。
表現しがたいほどの強い倦怠感がある
『倦怠感』って言葉、よくないですよ。『なまける』なんてもんじゃないから。体験していない人が想像するより、200倍くらいつらいと思う。僕の場合は『ドラゴンボール』に出てくる『精神と時の部屋』じゃないけど、ひどい時は本当に重力が何倍にも感じる。
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
私はこの病気になって、初めて“倦怠感”を知りました。
ただ「なんとなくだるい」というレベルではなく、体中が猛毒に侵されているような痺れと重みに苦しみました。
これこそ、なってみないとわからない症状だと思います。
「普通」や「当たり前」に憧れる
当たり前に過ごすって、すごいことだと思う。例えば会社員の人なら満員電車に乗って、上司もいて、人と自分を比べて……体調が悪くなるのも当たり前。今の社会って、あっさりと簡単に人を見放すじゃないですか。一回輪の外に出てまた中に入るのはすごく勇気がいる。傷ついたことを受け入れる社会になってほしい。
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
うつ病になって、「普通」や「当たり前」がどんなにすごいことか実感させられました。
普通に生きていた過去の自分が羨ましくなるほどです。
「普通」や「当たり前」の幸せに気づくことができました。
うつ病は完治するのか?
山口さんの記事には、以下のように書かれています。
しかし、山口のうつ病が完治したわけではない。
「病気を公開しながら、音楽を作っていく」――サカナクション・山口一郎、うつ病との闘い #病とともに(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
それでは、うつ病に完治は存在するのでしょうか。
私はうつ病になって初めて“寛解”という言葉を知りました。
寛解とは以下を指します。
「寛解」とは、病気が完全に治ったわけではないが、症状がひとまず軽くなったり消えたりした状態で安定している、という意味の医学用語である。
「寛解(かんかい)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
うつ病には“完治”という概念はなく、代わりに“寛解”という言葉を使うようです。
完治はないけど寛解を目指していく、そんな病気がうつ病です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
山口一郎さんの記事から、筆者なりの“うつ病”について考察いたしました。
病気を公表した山口さんの勇気には感動します。
これからますます、山口さんの歌声に励まされる人が多いと思います。
今後の活躍も楽しみですね!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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